挨拶しても返事がない。会話の輪から自分のところだけ飛ばされる。業務連絡が自分にだけ回ってこない。「職場でいないものとして扱われている」と感じる状態は、殴られたり怒鳴られたりするわけではないぶん、「気にしすぎかな」と自分を疑いやすいのがいちばん苦しいところです。
先に結論をお伝えすると、この状態への対処は**「記録を取る」「ひとりで抱えず相談する」の2つ**で、どちらも今日から無料で始められます。我慢して耐えることは対処に入りません。この記事では、なぜ「気のせい」で片付ける話ではないのかの根拠と、具体的な手順を説明します。
「気のせい」ではない、と言える根拠
厚生労働省(あかるい職場応援団)の「パワーハラスメントとは」では、職場のパワーハラスメントの6つの類型のひとつに「人間関係からの切り離し」——隔離・仲間外し・無視——が挙げられています。そこでは、同僚に話しかけても集団で無視される状態が続いて職場で孤立している、という設例が、この類型に該当すると考えられる例として紹介されています(執筆時点)。
つまり、あなたが経験している状態は、行政が名前を付けて類型化している問題であって、「気にしすぎ」の一言で片付けるものではありません。
ただし、正確にお伝えしておくべきことがあります。パワーハラスメントに該当するかどうかは3つの要素をすべて満たすかで判断され、それは個別の状況によって異なります。この記事があなたのケースを「パワハラだと認定する」ことはできませんし、逆に「違う」と言うこともできません。だからこそ、次の2つの手順が大事になります。
手順1: 事実を日付とセットで記録する
判断は専門の窓口に任せるとして、あなたにしかできないのは記録です。記録があるかないかで、相談したときに状況が伝わる精度がまったく変わります。
- 日付・時間・場所: 「8月12日 朝礼後 執務室」
- 何があったか: 「部署全員に配られた資料が自分にだけ配られなかった」のように、解釈を入れず出来事だけ
- 誰がいたか: その場にいた人。あなたに同情的かどうかは問わない
- 業務への影響: 連絡が来なかったせいで会議に出られなかった、など
スマホのメモでも手帳でも構いませんが、後から書き足したと疑われないよう、その日のうちに書くのが基本です。「こんな細かいことを」と思うような出来事こそ記録してください。無視や仲間外しは一つひとつが小さいため、記録の積み重ねでしか実態を示せません。
手順2: 無料の公的窓口に相談する
記録が数件たまったら、外部に相談します。社内に信頼できる窓口があればそれも選択肢ですが、社内の人間関係が原因の問題を社内だけで抱えるのは負担が大きいものです。
公的な相談先としては、全国の労働局・労働基準監督署内などに設置されている総合労働相談コーナーがあります。いじめ・嫌がらせを含む労働問題全般の相談を、労働者側からでも無料・予約不要で受け付けている窓口です(執筆時点)。「相談したら大ごとになるのでは」と心配になるかもしれませんが、相談すること自体は状況を聞いてもらい選択肢を教えてもらう行為で、何かを申し立てる手続きとは別のものです。
自分を責める気持ちとの付き合い方
この状況にいる人の多くが、「自分に原因があるのでは」と考え始めます。振る舞いを見直すこと自体は無駄ではありませんが、集団での無視という手段は、あなたに何か改善点があったとしても正当化されるものではありません。原因探しと手段の妥当性は別の問題です。
なお、こうした状況でどれくらい消耗しやすいかには個人差があります。数秘術の考え方では、たとえばライフパスナンバー11の人は場の空気を敏感に察知する分、摩擦の多い職場で消耗しやすい傾向があるとされます。2の人は関係の質が働く満足度に直結しやすく、33の人は境界線を引くのが苦手で自分を責める方向に向かいやすい傾向があります。「敏感すぎる自分が悪い」のではなく「感受性が強い人ほどダメージが大きい状況にいる」と捉え直すための補助線として、無料診断で自分の傾向を確かめてみるのも一つです。
心身が限界なら、離れる手段を確保する
記録と相談を続けても状況が変わらず、眠れない・食欲がない・出社前に体調が崩れるといったサインが出ているなら、その環境から離れることを優先してください。健康は仕事より先です。
退職を自分で切り出せる状態ならそれが基本ですが、無視され続けた相手に退職を告げること自体が大きな負担になる場合もあります。そのための手段として退職代行というサービスがあり、運営主体によってできる範囲が異なります。民間業者は退職意思の伝達まで、弁護士は未払い賃金や有給消化などの交渉まで依頼できる区分です。弁護士法人ガイア法律事務所の退職代行のように弁護士が対応するサービスなら、LINEやメールでの相談から始められます(執筆時点)。
使うかどうかは今決めなくて構いません。「限界が来たときの出口がある」と知っていることが、今日を耐えるためではなく、冷静に記録と相談を続けるための支えになります。
今日やることは2つだけ
今日の分の記録を1件書くこと。総合労働相談コーナーの場所を調べておくこと。この2つだけで、あなたは「ただ耐えている状態」から「対処を始めた状態」に変わります。状況がすぐに変わらなくても、その差は大きいものです。