結論:モチベーションの上げ方は「同じやり方」では効かない
部下のモチベーションを上げようとして、面談の頻度を増やしたり、褒め言葉を増やしたりしても反応が薄い。そんな経験がある管理職の方は少なくないと思います。
理由はシンプルで、モチベーションが上がる条件は人によって違うからです。裁量を渡されると燃えるタイプもいれば、裁量を渡されるほど不安になるタイプもいます。承認の言葉で動く人もいれば、承認より「役割の明確さ」で動く人もいます。
このタイプ差を見立てる補助線として、数秘術の考え方を使う方法があります。生年月日から算出される数字(ライフパスナンバーなどと呼ばれます)は、その人がどんな場面で力を出しやすく、どんな場面で消耗しやすいかという「傾向」を整理する手がかりになります。当てはめて決めつけるためではなく、「この人にはこういう関わり方もあるかもしれない」と仮説を立て、対話の材料にするための道具として捉えるのが実務では使いやすい形です。
数秘術で見る部下のタイプ別・モチベーションの関わり方
以下は9つの数字ごとの傾向と、関わり方のヒントです。数字の算出方法は生年月日の数字をすべて足し、一桁になるまで合計するのが基本的な考え方ですが、正確な数字が気になる場合は診断ツールを使うと早いです。
1の傾向:自分で決めて動きたいタイプ 指示を細かく出されるより、目標とゴールだけ渡されて任される方が力を出しやすい傾向があります。結論から話し、決定権をどれだけ渡せているかを意識すると噛み合いやすくなります。
2の傾向:調整役として力を発揮するタイプ 場をまとめる役割で安定する一方、決断を迫られ続けると疲弊しやすい傾向があります。指示より先に意見を聞く関わり方が合いやすく、役割と期待を言葉にして渡すことが有効です。
3の傾向:発想と勢いで動くタイプ ルーチンワークが続くと飽きやすく、変化のある仕事で持ち味が出やすい傾向があります。アイデアを頭ごなしに否定せず、発散する役割を任せると力が出やすくなります。
4の傾向:仕組みと継続を大事にするタイプ 急な方針転換や曖昧な指示にストレスを感じやすい傾向があります。背景と手順をセットで伝え、段取りを一緒に決める関わり方が合いやすいです。
5の傾向:変化と行動範囲を求めるタイプ 同じ環境が長く続くと閉塞感を覚えやすい傾向があります。縛りすぎず、変化のある役割や複数の案件を任せると安定しやすくなります。
6の傾向:面倒見の良さで動くタイプ 頼まれると断れず抱え込みやすい傾向があります。感謝や承認の言葉が明確に伝わると力を出しやすく、業務量を一緒に棚卸しする関わりが有効です。
7の傾向:一人で深く掘るタイプ 形式的な会議や浅い雑談で消耗しやすい傾向があります。干渉を減らし、成果物で評価する関わり方や、考える時間を確保する配慮が合いやすいです。
8の傾向:目標達成への推進力があるタイプ 権限のない役割では不完全燃焼になりやすい傾向があります。目標と権限をセットで渡すと力を出しやすく、プロセスへの細かい介入は逆効果になりやすいです。
9の傾向:全体を見渡す視野を持つタイプ 意義を感じない業務は急に手放したくなりやすい傾向があります。数字だけの詰めより、目的から説明する対話をセットにすると動きやすくなります。
なお、11・22・33といった数字が出る場合もあります。11は感受性の強さから環境の影響を受けやすい傾向、22は長期的な構想を任せると力を発揮しやすい傾向、33は支える対象への共感が満足度を左右しやすい傾向があるとされています。いずれも「こういう場面で力が出やすい」という参考情報として扱うのが実務的です。
部下のタイプが見えにくいときの整理手順
面談だけで部下の傾向を掴むのは簡単ではありません。数字を参考にする場合も、次のような手順で整理すると使いやすくなります。
- 本人の生年月日から数字を出す(無料の診断ツールを使うと早く確認できます)
- 過去に力を発揮した場面を1つ思い出してもらう(達成感があった仕事、逆にしんどかった仕事)
- 数字の傾向と照らし合わせ、一致する部分・しない部分を両方メモする
- 一致しない部分こそ、本人に直接聞く材料にする(「こういう傾向もあるらしいけど、実際どう感じる?」と問いかける)
ポイントは、数字を「答え」として扱わないことです。あくまで対話の入り口として使い、最終的な理解は本人との会話で埋めていく。数字が外れていた場合も、それ自体が「この人はこういうタイプではないんだな」という発見になります。
自分自身の数字とタイプ傾向を先に整理しておくと、部下との関わり方を見直す際の比較材料になります。無料診断で自分の数字を確認してから、部下のタイプ整理に進む順番もおすすめです。
使う上での注意点
タイプ分けは便利な反面、使い方を誤ると逆効果になります。
まず、数字で部下を決めつけないことです。「この人は8だから放っておいても大丈夫」のような断定は、本人の状況や体調の変化を見落とす原因になります。あくまで「傾向」であり、当日の様子や本人の言葉の方が優先されるべき情報です。
また、タイプ別の関わり方のつもりが、行き過ぎるとハラスメントに該当する可能性がある点にも注意が必要です。厚生労働省の「あかるい職場応援団」では、職場におけるパワーハラスメントの類型の一つとして「人間関係からの切り離し」を挙げており、同僚から集団で無視される状態が続き孤立している状況が該当例として紹介されています。また「過小な要求」も類型の一つとされています。
「このタイプは放っておいた方がいい」という見立てが、結果的に業務を与えない・関わりを減らすという形になっていないか、定期的に振り返ることが大切です。パワーハラスメントに該当するかどうかは個別の状況によって判断されるため、迷う場面があれば、社内の相談窓口や外部の相談機関を利用する選択肢もあります。
出典: 厚生労働省(あかるい職場応援団)「パワーハラスメントとは」(執筆時点)
最後に、モチベーションの上げ方に「これをすれば必ず上がる」という正解はありません。数字はあくまで整理の補助線であり、最終的な関わり方は部下本人の状況を踏まえて判断するものです。
まとめ
部下のモチベーションが上がらないと感じたら、まず「同じやり方を全員に当てはめていないか」を振り返ることが出発点になります。数秘術の考え方は、部下それぞれの傾向を仮説として立て、対話の材料にするための一つの道具です。
関わり方の引き出しそのものを増やしたい場合は、部下育成の本を楽天で探すと、動機づけの理論や声かけの型をまとめて扱ったものが並びます。ナンバー別の仮説と突き合わせると、試せる手が具体的になります。
タイプ別の傾向を知った上で、実際にどう関わるかを一人ひとりと話し合っていく。その積み重ねが、画一的なマネジメントから抜け出す一歩になります。まずは次の1on1で、部下がどんな場面で力を出しやすいと感じているかを一つ聞いてみるところから始めてみてください。