「教えたつもり」が伝わらない原因は、伝え方の噛み合わなさにあることが多い

同じ説明をしたはずなのに、後輩によって理解のスピードも定着の仕方もまるで違う。何度も同じ質問をされたり、指示したことと違う動きをされたりすると、「自分の教え方が下手なのか」「この子には向いていないのか」と悩んでしまいます。

結論から言うと、指導が伝わらない原因の多くは、能力の差ではなく情報の受け取り方の違いにあります。結論から聞きたい人に手順から説明したり、手順を丁寧に知りたい人に結論だけ伝えたりすると、同じ内容でも「伝わった」と感じてもらえません。

指導方法に絶対の正解はありませんが、相手がどんな受け取り方を好みやすいかという傾向を知っておくと、伝え方を選ぶときの手がかりになります。ここでは数秘術の考え方を使って、伝え方のズレを整理する視点をご紹介します。あくまで自分と相手を理解するための補助線であり、これですべてが解決するわけではない前提でお読みください。

後輩指導で「伝わらない」と感じやすいパターン

指導のすれ違いは、いくつかの傾向に分けて考えると整理しやすくなります。数秘術の考え方では、生年月日から算出される数字(ライフパスナンバー)ごとに、情報の受け取り方に傾向が出やすいとされています。ここでは代表的なパターンを見てみます。

結論からでないと動きにくいタイプ 数字の1の傾向を持つ人は、結論から話すと噛み合いやすく、細かい手順を先に並べられるとかえって混乱しやすいことがあります。「まず何をすればいいか」を最初に伝え、背景説明はそのあとに回すと伝わりやすくなる場合があります。

手順と背景をセットで知りたいタイプ 数字の4の傾向を持つ人は、なぜその作業が必要かという背景と、具体的な手順をセットで伝えると動きやすい傾向があります。丸投げに近い伝え方だと不安が残りやすく、一緒に段取りを決めるくらいの関わり方が合いやすいとされています。

一人で考える時間が必要なタイプ 数字の7の傾向を持つ人は、その場で質問攻めにするより、考える時間を渡して成果物で確認するほうが機能しやすいことがあります。「わかった?」と何度も聞くより、いったん任せて後で結果を見る関わり方が合いやすい場合があります。

目標と裁量を渡すと力が出るタイプ 数字の8の傾向を持つ人は、目標とある程度の裁量をセットで渡すと動きやすく、逆に細かいプロセスへの介入が続くと窮屈に感じやすいとされています。

意見を聞かれることで動きやすいタイプ 数字の2の傾向を持つ人は、一方的な指示より「あなたはどう思う?」と意見を聞かれることで納得して動きやすい傾向があります。

アイデアを否定されると失速しやすいタイプ 数字の3の傾向を持つ人は、発想を頭ごなしに否定されると急に意欲が落ちやすく、まず受け止めてから修正点を伝えると伝わりやすい場合があります。

感謝と承認が伝わると安定するタイプ 数字の6の傾向を持つ人は、指摘だけでなく感謝や承認がセットで伝わることで安定して力を出しやすいとされています。

直感を否定されると萎縮しやすいタイプ 数字の11の傾向を持つ人は、感覚的に感じたことを頭ごなしに否定されると萎縮しやすく、その直感を言葉にする手伝いをするような関わり方が合いやすいことがあります。

こうして並べると、「同じ説明の仕方」がすべての後輩に通用するわけではないことが見えてきます。伝わらないのは、指導の質そのものより、伝え方の選択が合っていないだけということも少なくありません。

伝え方のズレを整理する3ステップ

自分の指導スタイルと後輩の受け取り方を照らし合わせるために、次の手順で整理してみることができます。

ステップ1:自分がどう教えているかを言語化する 無意識に「結論から話す」「手順を細かく説明する」「一気に全部伝える」など、自分の癖があります。まずは直近の指導場面を思い出し、どんな順番・分量で伝えているかを書き出してみます。

ステップ2:後輩の反応パターンを観察する 指示のあとに固まる、質問が止まらない、聞いたはずのことをやらない――こうした反応がどんな伝え方のときに起きやすいかを振り返ります。結論から話したときは動けたのに、手順を細かく説明したときは止まってしまった、といった違いが見えてくることがあります。

ステップ3:1つだけ伝え方を変えて試す すべてを変える必要はありません。「結論を先に言ってみる」「感謝の一言を先に添えてみる」など、1つだけ変えて次の指導で試し、反応の変化を見てみます。数秘術の傾向はあくまで仮説を立てるための材料であり、実際に効果があるかどうかは相手を観察して確かめる必要があります。

自分自身の指導スタイルの傾向を客観的に整理したいときは、無料診断を使って自分の数字を確認してから、上記のタイプと照らし合わせてみるのも一つの方法です(無料診断はこちら)。

一人で抱え込みすぎないために

指導がうまくいかないと、「自分の指導力が足りない」と一人で抱え込んでしまいがちです。ですが、伝え方の相性は指導する側だけの問題ではなく、受け取る側との組み合わせで生まれるものです。何度も同じ壁にぶつかるときは、自分の伝え方の癖と相手の受け取り方の傾向を切り分けて考えるだけでも、気持ちの整理がつきやすくなります。

また、指導の範囲を超えて「同僚から集団で無視される」「業務内容に見合わない仕事量を押しつけられる」といった状況が背景にある場合は、指導方法の工夫だけでは解決しない可能性があります。そうした状況が疑われるときは、厚生労働省の「あかるい職場応援団」がパワーハラスメントの類型や具体例を公開しているので、状況の整理に参考にすることができます。

伝え方のズレは、他人の目線が入ることで見えやすくなることも多くあります。